日本で教育を受けるためには、非常にお金がかかります。
中学や高校でも、私立に行ったら何十万や100万円を超えるお金が必要ですし、大学に行くならさらに多くの費用が発生します。
そのため、奨学金や教育ローンを借りて、返済が厳しくなる方が多くおられます。
以下では、奨学金や教育ローンの債務整理について、弁護士が解説いたします。
1.奨学金と教育ローンの違い
奨学金も教育ローンも、どちらも子どもに教育をつけさせるために利用するものですが、両者にはさまざまな違いがあるので、まずは確認しましょう。
まず、奨学金については、給付制のものと貸与制のものがあり、給付制のものは返済不要ですので借金ではありません。貸与制のものは借金ですから返済が必要です。
これに対し、教育ローンは「ローン」ですから、常に借金です。
また、奨学金と教育ローンは、借入人も異なります。奨学金を借り入れるのは「子ども」本人ですが、教育ローンを利用するのは、基本的に「親」です。
さらに、奨学金と教育ローンは借入先も異なります。
奨学金は、日本学生支援機構や公益法人、財団法人、企業などが主体となって実施していることが多いですが、教育ローンを貸し付けているのは、多くの場合、一般の貸金業者です。
そこで、奨学金と教育ローンでは、払えなくなった場合の対応も、変わってくる可能性があります。
2.奨学金、教育ローンを債務整理する方法
奨学金や教育ローンを債務整理するときには、任意整理、個人再生、自己破産の3種類のうちから適切な方法を選択する必要があります。
2-1.任意整理について
奨学金の場合、任意整理は難しくなることが多いです。主な奨学金実施機関である「日本学生支援機構」は、任意整理の話合いに応じないことが一般的だからです。これに対し、一般の貸金業者の教育ローンであれば、任意整理によって解決することも可能です。
2-2.個人再生、自己破産について
奨学金でも教育ローンでも、個人再生や自己破産によって解決することは可能です。
個人再生をすると、こうしたローンの返済額を大きく減額できますし、自己破産をすると、支払い義務を免除してもらうことができます。
2-3.保証人がいる場合の債務整理
奨学金を利用するときには、親が連帯保証人になっていることが多いです。この場合、子どもが自己破産などの債務整理をすると、連帯保証人である親にも支払い請求が来てしまいます。
親も奨学金の支払いが出来ないのであれば、親子が一緒に自己破産することなどを検討しなければなりません。
以上のように、奨学金も教育ローンも債務整理によって解決できますが、その際、利用する手続きや進め方の点で、注意すべきことがあります。返済が苦しくてお困りの際には弁護士がアドバイスいたしますので、お気軽にご相談下さい。